日刊自動車新聞掲載〈インタビュー〉

日刊自動車新聞掲載〈インタビュー〉
アセアン・カービジネス・キャリア 川崎 大輔社長

(日刊自動車新聞:2017年12月6日(水曜日) [第4面 国内マーケット])

◆外国人受け入れへの不安払拭
 アセアン・カービジネス・キャリア(ACC、東京都千代田区)は、自動車アフター業界向けに海外人材の紹介業務を手掛ける。2017年内にもインドネシアから技術者の人材第1号が来日する。自動車業界で慢性的な課題となっている人材不足の解消策として期待される。

 ―3月に事業を立ち上げたが進捗(しんちょく)は
 「8月に人材紹介のライセンスを取得し、年内にも最初の人材を仲介できる体制が整った。日本で働きたいという海外人材からのニーズは強い。一方、企業側の受け入れ体制ができていないのが今の実情だ。外国人の雇用に当たって、不安要素を抱えており取り除いていかなければならない。来年から本格的に、セミナーなどを行い啓蒙活動に力を入れていく」

 ―受け入れ側が持つ不安とは
 「外国人の人材を採用する際、誰に頼めばいいか、採用後は言葉の壁などからどのようにコミュニケーションを取ればいいか、などの悩みを抱えている。こうした背景もあり、整備事業者に対して聞き取り調査を実施したところ、外国人を採用したいかという質問には『ノー』という答えが返ってきた。ただ、整備工場で人材不足は鮮明となっており、引き合いはあると考えている」

 ―では、どのように外国人の雇用を促進するか
 「企業側が持つ懸念を払しょくしていく。紹介する人材には、語学研修や銀行口座の開設などの生活支援を行い、働く前段階から日本に馴染みやすくする。雇用側に対しても、採用する人材の出身国への理解や簡単な現地語の研修を受けてもらい、コミュニケーションが取りやすい環境をつくる」

 ―受け入れまでの流れは
 「採用側から雇用条件を聞き、現地のパートナーを通じて人材を探す。1~2人をピックアップし、それからテレビ電話などを活用して面接してもらう。紹介する人材は主に、ベトナムとインドネシアの理工系の大学生を対象とした高度人材、または技能実習生だ。ACCでは前者をメインとする。要望があれば、カンボジアやミャンマーなどにも対象国を広げる予定だ」

 ―一時的な人材補填だけでなく、将来のビジネスパートナーにもなりそうだ
 「人材紹介の目的には、海外進出の足掛かりにしてもらうという側面がある。ACCが主に紹介するのは、大学を卒業した高度人材だ。進学率が高くない新興国での大卒者は、親族が富裕層に当たりやすい。将来的に独立する環境もすでに持っている場合がある。同じ釜の飯を食べ、信頼関係を構築しておくことで、2~3年後に帰国した後もビジネスパートナーとして捉えることができる。これを人材先行型の海外進出ビジネスモデルと位置付けている。海外進出を視野に入れていることを踏まえると、一定の規模感を持つ整備事業者から需要があると想定している」

(参考)アセアンカービジネスキャリアHP:https://www.asean-carbusiness-career.com/

【ベトナム人自動車整備人財の夜明け】

【ベトナム人自動車整備人財の夜明け】

2016年4月1日より外国人技能実習生制度において「自動車整備」が職種に追加された。これによってベトナム人の自動車整備関連への雇用機会が拡大した。

ベトナムにおいて自動車整備は大きな意味を持つ。ベトナム自動車工業会の発表によると2015年の新車販売台数は24万4,914台であった。前年比で55.1%の大幅な伸びを記録し市場が急拡大している。ベトナム国内の景気回復や道路インフラの改善、銀行の自動車ローンの強化などが増加の背景にある。

2014年におけるベトナムのハノイとホーチミンの1人あたりGDPはそれぞれ3,348ドル、4,986ドルとなっている。これはモータリゼーションが始まるとされている3,000ドルの水準をすでに超えている。政策の急な変化がない限りベトナムの自動車市場はこのままさらに拡大を続けるだろう。

市場の拡大に伴って自動車整備技術、技能の需要は増えていく。これからのベトナムの産業を担っていく上でも重要な職種であると言える。

「ベトナムには多くの学校があり、年間で1万人近くの技術者候補がいるのではないか」とベトナム人の学校関係者はいう。しかしながら学校を卒業しても3割くらいは仕事があるが、それ以外は仕事がない状況である。ベトナムでは専門を持っていても仕事がない状況が続いている。年齢が若く、技術が高く、人口も多いという利点を持っているのがベトナム人技術者の特徴だ。しかし、言語や文化の違いが大きな障壁となっていた。

人材が不足する日本の整備業界にとって、ベトナム人自動車整備人材の存在は業界を救える。一方でただ単に整備人材の不足という安易な理由だけでは短期的な解決策となるだろう。ただし、ベトナムに帰国してからも活躍できるような循環型の人材システムを作り人財へと変えていくことが大事だ。

(参考:レスポンス「川崎大輔の流通大陸」)
https://response.jp/article/2017/02/07/290220.html

【川崎大輔がみるアセアンアフターマーケット(抜粋より)】

【川崎大輔がみるアセアンアフターマーケット(抜粋より)】

タイ、自動車整備工具のマーケットに進出したアストロプロダクツ。

できるだけタイ人が主役になって自らの視点で商品説明やお客様が知らない商品の動画を制作し、情報を提供していくことを目指している。

タイでは専門的な工具販売店は少ないが新顧客の創出、更に中間層の勃興によって自動車整備工具業界への勢いは強まりそうだ。

https://ameblo.jp/kawadai1/entry-12323639679.html